#6 世界の旅の追憶

ユーラシア大陸を自転車で横断しながら世界中の子どもを一本の糸でつないでいた10年前の今日、僕たちはタイ王国のバンコクの、とある大学で熱心にブラシをかけていました。

タイでは東北地方、スリン県のタートゥム村にある小学校に訪問し、糸つなぎをする予定になっていたんです。旅へ出発する前にこの小学校の英語の先生とコンタクトをとり、糸つなぎプロジェクトを実施することを約束していました。英語の先生と繋いでくれたのは、先生の息子のガイウー。彼は当時タートゥム村を離れ、バンコクで仕事をしていた関係で、まずはバンコクで彼と落ち合いその後目指す村に向かうことに。ガイウーは僕たちに会うなり「まずは疲れを癒して」とスパへ。続いて「体力を回復して!」と美味しいタイ料理のお店へ連れて行ってくれます。初めて会うのにすっかり仲良し♪

タイはこの年、記録的な大洪水が発生しており、ガイウーが以前通っていた大学はすっかり水没してしまったらしく・・・ようやく水が引いたため、バンコク2日目はガイウーと共に大学へ。昨日の恩返しに、と、泥まみれの大学の掃除をガイウーの同級生たちと泥まみれになりながら丸一日行いました。泥からは鼻につく悪臭がしたけれど、誰も嫌な顔せずに一心不乱に校内にブラシをかけ続けます。太陽が森の向こうに顔を隠す頃、担当したエリアが大方綺麗になりました。綺麗になった校舎に腰掛け、皆で見上げた空の色は今でも忘れません。

翌日、ガイウーの家に荷物を預け、僕たちはバンコクからバスで12時間ほど南に下った、プーケットのすぐそばのカオラック村に向かいます。実は1年前、僕たちはこの村で津波の被害に遭った人たちの支援ボランティアに参加していて、その時であった村人たちに再会いたいと思ったんです。自転車しか乗っていなかったので久しぶりのバス。このバス移動が旅でも1、2をあらそう悪夢でした。乗った瞬間から運転手の横柄な態度に気づきます。事あるごとに乗客に罵声を浴びせ、運転は荒く、全く生きた心地がしません。

途中、急停車したかと思うといきなり自分を含め何人か胸ぐらを掴まれバスの外に連れ出されます。言葉も通じず全く意味がわからない展開。若気の至りで、ついカッとなり運転手に立ち向かうと、彼はなんとピストルを取り出しこちらに向けてくるではないですか!

幸い撃たれることはなく、ピストルのグリップで殴られ荷物の上に倒されただけだったのですが、乗客は皆、これ以上運転手を刺激しないよう協同し一刻も早い目的地への到着を祈りました。

永遠にも感じた12時間のバス移動後辿り着いた目的地。村人の温かい目と笑顔が全てを癒してくれました。

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加藤 功甫

代表理事Connection of the Children
コロンビア人の妻と2歳の娘とともに、毎日ワクワクする世界に挑戦中。愛車はDe Rosaのクロモリ自転車と32歳になるRover mini。そろそろ世界各地で開催される300kmくらい走るレースに出場したいなぁと考えている。

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