#7 世界の旅の追憶

ユーラシア大陸を自転車で横断しながら世界中の子どもを1本の糸でつないでいた10年前の今日、僕たち(CoC加藤&田澤)はベトナム中部にある町Đông Hà(ドンハ)にいました。

ドンハは東河と書き、北東南と河川に囲まれた人口8万人ほどの地方都市。ベトナムが南北に分かれていた当時は南ベトナム最北端の町であり、ベトナム戦争の際はアメリカ軍の基地があり、軍事境界線を超えて軍を進めるための重要な拠点だったらしい。

しかし当時の僕たちはドンハの歴史を熱心に解読する余裕はなく、ただひたすらに寒さに凍えていました・・・タイ、ラオスでは天候に恵まれ、半袖1枚で自転車を漕いでも汗ばむような気候でしたが、ラオスとベトナムの国境の山岳地帯を超えてからというもの、連日の冷たい雨。「ベトナムなんて行ったら寒くて死んじまうよ!」と真剣な目で話すタイの方々の言葉を「そんな馬鹿なことあるかい!」と笑って返していましたが、確かに、これは相当堪える・・・

特にこのドンハ周辺は雄大な山々がそびえ、常に坂を登っているか、降りているかでした。通常は下り坂が楽しみで山を辛抱強く登るのですが、この時ばかりはペダルを漕いでホカホカする登り坂がいつまでも続けばいいと思っていました。ドンハに入る直前、10キロ以上の登り坂を登り終えると、眼下彼方先に町が。あれがドンハか、と町まで続く下り坂を眺めます。雨脚が徐々に強まっている感覚。

下りはじめると顔が雨に打たれ痛い・・・サングラスにワイパーが欲しいなんて本気で考えます笑 道路脇の崖からチョコレート色の水が道に流れ出し道をヒタヒタにします。トラックが追い越しざまにそれを景気良く僕らの身体中にぶっかける。ドンハに到着するとすれ違う人が不思議そうな顔でチョコレートコーティングされた僕たちを見つめます。

心底冷え切った体を温めるためこの日はゲストハウスに久しぶりに滞在。久々のあったかいシャワーに感動の涙を流し、ホカホカの体でロビーでくつろいでいると、チョコレートコーティングされた全身に、唇をブルブル震わせた男が目の前に。無言でシャワーの場所を指差すと、ロボットのような動きで彼はシャワー室へ入っていく。その後ベトナム名物「ビアホイ(ベトナムの超ローカルビアガーデン)」でぬるいビールに氷を入れて彼と乾杯。スイスから来た彼は、東南アジア〜中央アジアを自転車で旅しているらしい。それぞれの旅の経験を肴にそれから夜更けまで何度も何度も杯を交わしました☺️

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加藤 功甫

代表理事Connection of the Children
コロンビア人の妻と2歳の娘とともに、毎日ワクワクする世界に挑戦中。愛車はDe Rosaのクロモリ自転車と32歳になるRover mini。そろそろ世界各地で開催される300kmくらい走るレースに出場したいなぁと考えている。

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